──右派ポピュリストが労働者階級との結びつきを強めているのはなぜでしょう? 

その理由のひとつに、政治は富の再分配だけでなく、愛国心にも結びついていることがあげられます。国民は、民族としての強いアイデンティティと共同体意識をほっしています。

ところが左派政治家は、右派ポピュリスト政治家が提示する狭量で頑迷な排外主義的ハイパーナショナリズムとは異なる、独自の肯定的な愛国心を提示できていません。

私は『民主政の不満』の初版で、家族や隣人のみならず、国家の次元でも共同体としての道徳的な基盤が崩壊しつつあると書きました。市場主導型のグローバル化は、共同体としての国家の意義を無視しているし、進歩派もこれに対処する方法を見つけられずにいます。

トランプら右派にとって、国境と移民は国家的なアイデンティティを求める人たちに訴求する「手段」なのです。左派は移民問題に言及するとき、国家、共同体、国民として、私たちをひとつに結びつける新しい理念を提示する必要があります。

──左派は、愛国心について語るのを恐れているのでしょうか?

その通りです。彼らは、愛国心という言葉にアレルギーのような反応を示します。愛国主義はいまや右派の専売特許と見られています。右派はこの言葉を、きわめて効果的に利用しているのです。

https://news.yahoo.co.jp/articles/1a88831f217053fe3409bd712bc973def485d7c6