次世代原発、三菱重工が統括へ…高温ガス炉・高速炉開発を主導

 経済産業省は、次世代型の原子力発電所の開発で設計を統括する中核企業を三菱重工業にする方針を固めた。安全性の高い原発の開発を加速させ、エネルギーの安定供給と脱炭素化の両立を狙う。近く発表する。

 中核企業は、高温ガス炉と高速炉の開発で、機器や部品メーカー、ゼネコンといった参画企業を取りまとめる役割がある。工程管理や規制当局との対話、地元対応を担う開発の司令塔の組織とも連携する。司令塔は、国の研究機関や電力会社が持つ能力を結集させる。

 高温ガス炉は、核燃料から出る熱をヘリウムガスで取り出して発電する原子炉。燃焼時に二酸化炭素を排出しない水素も製造できる。高速炉は効率的に燃料が反応し、放射性廃棄物を減らすことも期待できる。政府は二つの炉の開発に向けて、2023年度以降の3年間で計900億円の予算を確保している。

 日本は次世代原発として、高速増殖炉「もんじゅ」の開発を進めてきたが、トラブルが相次ぎ、16年に廃炉を決めた。開発に参加した企業の役割分担が曖昧だったことも、失敗の要因となった。

 経産省の有識者会議は昨年、次世代原発の開発に中核企業を設けることを提言し、今春に公募を行った。選考会議が提案内容や技術力を精査し、三菱重工に決めた。高温ガス炉は30年代、高速炉も40年代に、実証炉の運転を目指す。
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230704-OYT1T50228/