2000年3月2日、大山清隆死刑囚は12歳の息子を夜釣りに誘いました。

「僕が急いで釣り具を準備して車に乗り込むと、お母さんは助手席のシートを倒して横になっていました。だから僕は、眠っていると思っていました」(寛人さん)

 しばらくして港に着くと、母親を車内に残し、寛人さんと父親は、離れた場所で別々に釣りを始めました。

「お父さんから『今、海に何かが落ちたような音が、ボチャンという大きい音が聞こえなかったか?』と言われました。すると、ある異変に気付いて…。助手席で眠っていたはずの、母親の姿がなかったんです。その瞬間に僕は、一気に血の気がひいたというか、青ざめました」(寛人さん)


 警察の捜索が始まり、ほどなくして海面に漂う母が見つかりました。

「お母さんは海からすぐに引き上げられたんですけど、本当に人形のようにぐったりしていて。お父さんは、『お母さんは大丈夫だから』ということを繰り返し僕に言っていましたね。だからもう、ただただ必死というふうにしか見えなかったです」(寛人さん)

 それから2年後の2002年、父親は博美さんを殺害し死体を海に遺棄した、殺人・死体遺棄容疑で逮捕されました。あの夜寛人さんが見た助手席の博美さんは、すでに死んでいたのです。
夜釣りに出かける30分前、父親は博美さんを自宅の浴槽に沈め殺害。釣りの合間に、息子の目を盗んで遺体を岸壁から投げ捨てていました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/c8bb9edbad20ba69b1b936d00ee28857d9251773?page=2