大阪万博の「海外独自パビリオン」建築申請ゼロ…政府「予算上積みを」

2025年大阪・関西万博に参加する国・地域が独自に出展するパビリオンの
建設を巡り、大阪市に提出する建築許可申請が1件も出ていないことがわかった。
建築資材の高騰や人手不足で、国内の建設業者との契約が進んでいないからだ。

政府は参加国に対し、デザインの簡素化や予算の上積みを要請するなど
具体的な対策に乗り出す。万博には、約150か国・地域が参加を表明している。

出展するパビリオンは、各国・地域が費用を出して独自に建設するタイプA、
万博を運営する日本国際博覧会協会(万博協会)が建設して国・地域ごとに
利用するタイプB、万博協会が建設して国・地域が共同で使うタイプCに分かれる。

このうち、政府が遅れを懸念するのが、米国やオランダなど約50か国・地域が
出展するタイプAのパビリオンだ。各国は日本の建設業者と工事契約を結び、
大阪市に建築許可申請を出す必要があるが、開幕まで1年9か月に迫った
6日午前時点でも申請は出ていない。

建設関連費用が上昇し、万博以外でも民間の建設工事が増える中、
パビリオンの独創的なデザインが足かせとなり、採算性の低さから
建設業者が受注に消極的になっているとみられる

政府は外交ルートを通じて参加国にデザインの簡素化や
予算の増額を要請することを明記した。

万博協会は、海外パビリオンの発注業務などに対応する窓口を新設する。
工期中に建設業者が共同で使用する仮設設備の費用なども、万博協会が
負担する方向で検討している。

政府は、建設業界に協力を要請した理由として「大阪・関西万博が国際博覧会として
成立しなくなることが危惧される」と説明した。

海外参加国のパビリオン建設の遅れに強い危機感を示した形だ。
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230706-OYT1T50218/2/