おじさんウルトラマンに成人プリキュア 「高年齢化」はなぜ起きた?

 8日朝に放送が始まった「ウルトラマンブレーザー」(テレビ東京系)の主人公ヒルマ・ゲントは、隊長、30歳、妻子持ち。
防衛チームの若手隊員や正義感の強い青年という、これまでのウルトラマンシリーズの主人公像を大きく変えたことが話題になっている。

 子ども向けとみなされるシリーズで、主人公やその仲間の年齢が上昇しているという事例が最近、目につく。

 今年2月まで放送されたスーパー戦隊シリーズ「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」で、
戦隊メンバーの一員、キジブラザーは33歳で妻帯者のさえない会社員だった。

 放送中のアニメ「ひろがるスカイ!プリキュア」のキュアバタフライは、18歳の専門学校生。
今年20周年のプリキュアシリーズでは、これまでのプリキュアの大半が中学2年生の設定だったが、レギュラー戦士では初の成人プリキュアだ。

 漫画に目を向けると、累計発行部数が1千万部超で来年にはアニメ化も決まった少年ジャンプ+の人気作「怪獣8号」の主人公・日比野カフカが32歳。
「少年」を冠した媒体のバトル漫画では珍しい設定で、作中では「おじさん」と揶揄(やゆ)もされる。

 こうした「高年齢化」の背景には何があるのか。

 サブカルに詳しい文芸評論家の藤田直哉さんは「一義的にはファン層の高齢化」としつつ、
「1980~90年代のサブカル全盛期を過ごした子どもが親世代になったことで、子どもの意識が変わった」と指摘する。

 かつては、漫画、アニメ、ゲームなどは親や学校の先生から否定的に見られた。
サブカルは若者文化であり親や教師への対抗文化でもあったので、大人との違いが際立つ若い主人公が共感を集めた。

 しかし今は、親や教師はサブカルを否定するどころか、一緒に盛り上がれる仲間になった。
藤田さんは「最近は反抗期がない子どもが増えたと言われるぐらいで、上の世代を否定する必要がなくなった。
そんな時代では、危機に立ち向かうのは少年少女よりも大人の方が子どもにも説得力がある」と話す。

https://www.asahi.com/articles/ASR7745KHR6XUCVL03N.html