コロナ禍で5歳児に4カ月の発達の遅れ、施設閉園などが影響か 研究チーム発表

https://www.sankei.com/article/20230711-3XNXG2RQU5IZZGZEHOFBDOCGFE/

3~5歳の間に新型コロナウイルス禍を経験した保育施設に通う5歳児は、未経験の同年齢と比べて平均約4カ月の発達の遅れがあったと京都大や筑波大などの研究チームが発表した。社会性を身につける時期に保護者以外の大人や子供と交流する機会が減ったことが要因と考えられる。一方、1~3歳でコロナ禍を経験した3歳児にはそうした傾向はみられなかった。

平成29年~令和元年に、首都圏のある自治体の認可保育園43施設に通う1歳と3歳(各年4月1日時点)の計887人を対象に初回の調査を実施。それぞれ3歳と5歳になった2年後に再調査を行い、コロナ禍経験の有無の影響を比較した。検査は保育士が、運動や言語理解など8つの分野を100項目以上で評価する「KIDS乳幼児発達スケール」を用いた。

分析結果によると、5歳児ではコロナ禍経験群は未経験群と比較し平均4・39カ月の発達遅れがあった。特に、大人に対する社会性やしつけの分野で遅れが目立った。一方、3歳児では発達の遅れは明確にみられず逆に経験した群のほうが大人に対する社会性や概念の理解について発達が進んでいる傾向が確認された。

研究チームの京大大学院医学研究科の佐藤豪竜(こうりゅう)助教(社会疫学)は「一対一の交流が重要な1~3歳の時期にコロナ禍で保護者と過ごす時間が増えたことが、発達に良い影響を与えた可能性がある」と指摘。