政府 「高速炉」開発へ 設計・建設の中核企業に三菱重工業選定
2023年7月12日 17時55分

政府は、次世代型の原子炉の一つ「高速炉」の開発に向けて、実証炉の設計や建設を担う中核企業に、廃炉になった高速増殖炉「もんじゅ」やその後継の開発に携わってきた三菱重工業を選定しました。

政府は、脱炭素社会の実現とエネルギーの安定供給のため、次世代型の原子炉の開発や建設を進める方針で、このうち「高速炉」については2040年代に実証炉の運転を始める工程表を示しています。

経済産業省は12日開かれた政府会議の作業部会で、来年度から行う実証炉の設計方針の策定や、将来的な建設を担う中核企業の公募を行った結果、三菱重工業とその子会社を選定したことを報告しました。

「高速炉」は、原発の使用済み燃料から取り出したプルトニウムを再び燃料として使えるほか、発電の過程で放射能レベルの高い廃棄物を減らすことができるとされていますが、2016年に福井県にある研究炉「もんじゅ」の廃炉が決まって以降、フランスと進めてきた共同開発も具体化せず、実用化のめどは立っていません。

三菱重工業は、「もんじゅ」の建設やフランスとの共同開発にも携わってきましたが、計画が具体化しない中で、国内で製造に関わるサプライチェーンがぜい弱になっているなどと訴えていました。

経済産業省は、今後、三菱重工業などと正式な契約を交わした上で、実用化にみあう安全性や経済性を確立するための研究開発を進めることにしています。

三菱重工業コメント

政府が進める高速炉開発の中核企業に選ばれた三菱重工業は「当社は、1960年代より高速炉開発に取り組み、実験炉「常陽」原型炉「もんじゅ」の開発・建設への参画、日仏開発協力等の国際協力にも積極的に取り組んで技術を蓄積してきた。高速炉は、ウラン燃料資源の有効活用、高レベル放射性廃棄物の減容化、有害度低減に資するわが国にとって重要な技術であると認識していて、国の方針に基づき国内の実証炉実現に向けて取り組んでいく」とするコメントを発表しました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230712/k10014126801000.html