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地域によっては、それはそれは豪壮なお墓もある。一族がお墓を大事にして、守り続けてきた証拠だ。優れた意匠の古いお墓をみると、よくも機械彫りの技術がない時代に手彫りで掘り上げたものだと、石工の気迫と芸術性に感心する。

しかし、現在、とくに東京などの大都市では、コストの問題や、墓守りする次世代がいない、などの理由でほとんど土地付きの墓を立てない。多くが永代供養の納骨堂に収めるのが主流になっている。あるいは、遠く離れた故郷にある菩提寺のお墓の管理も、できなくなっている。

現代のお墓の形態の変化は、時代に合わせた「ダウンサイジング」であり、供養をしなくなった、ということではないが、最近増えているのが「電車の網棚にわざと遺骨を置き忘れる」「公共のトイレなどに遺骨を流す」などの罰当たりな行為である。



■なぜ、鹿児島県は1人あたりの生花の消費量が国内一か

こんなデータがある。

鹿児島県は1人あたりの生花の消費量が国内一多く、日常的にお墓参りすることで知られている。共
同墓地を訪れると、いつでもどの墓にも鮮やかな花が供えてあり、奇麗(きれい)に掃き清められている。鹿児島県人は、供養に篤(あつ)い県民性なのだ。

鹿児島県内のお墓はいつでも花が供えられている – 撮影=鵜飼秀徳

次に刑法犯(殺人、強盗、強姦、暴行、傷害、放火、窃盗など)の犯罪発生率(人口100人にたいする発生率)を見てみたい。
すると、鹿児島県は全国47都道府県の中で41位(0.75%)とかなり低位。ちなみに上位は、1位大阪府(2.06)、2位愛知県(1.97)、3位福岡県(1.70)だ。

お墓参りを通じて、ご先祖様に「見られている」意識が人々の心に根付き、日々の行動抑制につながっていると考えるのは飛躍が過ぎるだろうか。




2016年1月29日付の産経新聞は、「『仏壇』が子供の情操に好影響 保有率低下の一方注目される効能」との見出しで報じている。

《12歳から18歳の男女約1200人を、仏壇参りを「毎回」「時々」「しない」の3つのグループに分けて、他者への優しさに対する比較を行ったところ、明確な差が見られた。
例えば、「誰かが悩みを話すとき『そんなこと知らない』とは思わない」という子供は「毎回」のグループでは56.6%なのに対して、「しない」のグループでは43.9%しかいなかった。「誰かが困っているとき、そ
の人のためにそばにいたい」とする子供が「毎回」では45.6%いたのに対し、「しない」では33.2%と10ポイント以上もの差が開いた》

調査は10代の子どもが対象だが、社会人にもきっと当てはまる。他者への思いやり、慈愛のこころを育むお墓参りや仏壇参りをぜひとも実践していただきたい。