人口4万7千人の岐阜県恵那市。広さは名古屋市のおよそ1.5倍、その7割を森林が占める自然豊かな地域です。

この街にいま、子育てを巡る「ある問題」が持ち上がっています。

恵那市南部には山岡・岩村・明智・串原上矢作の5つの中学校がありますが、3年後の2026年度に、これらを一番西の山岡中学校ひとつに統合する計画です。

住民から相次ぐ声は…

(恵那市民)
「あまりにも遠いなというのが一番困りますね」
「通学の距離がすごく遠くなる子どもが出てくる」

学校統合の対象となる5つの学区を合わせると、名古屋市より広い330平方キロ以上。ここに中学校が一つだけになるのです。

結果、生徒の約8割が歩いて通えず、スクールバス通学になる予定です。

新校舎から最も遠くなる恵那市串原地区。
ここに住む40代の女性は。

(串原地区に住む女性)
「2番目の子どもが統合のタイミングで入学し1年生になる。一番下の子どもは車酔いするので(通学は)無理かなと思う」

車による通学は、一体どのようなものなのか。

この女性のよると、統合された中学校までの道は冬場は車も通らないような道で、軽トラックで転落して亡くなった人もいるそう。女性は「本当に怖い」と話します。

「まあ遠いですね。落石はしょっちゅう。一度事故を起こすと、このあたりは携帯の電波が入らないので連絡のしようがない」

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恵那市は生徒の負担を考え、通学時間は1時間以内を目指し、より一層の時間短縮を図るとしていますが、到着までにかかった時間は59分29秒。
通学に毎日往復2時間。部活は、塾はどうなるのか。親の心配は尽きません。

少子化が進む中、国が進める学校統廃合。
都会では歴史が途絶える事を惜しむ声が上がる学校統廃合ですが、ここ恵那市のような中山間地域では「生活に直結する」切実な問題です。

このまま本当に進めるのか、改めて教育委員会に尋ねたところ「統合で通学時間は長くなり、きめ細かい指導が難しくなるなどデメリットがあるが、
同級生が増える事で社会性が育まれるメリットがあり、統合に向けた準備を進めたい」と、計画通り統合を進める方針を改めて示しました。

この20年で廃校になった公立小中学校は、実に8500校を超えています。

国が急速に統廃合を進める中、地元の学校で育っていく昔ながらの地域社会の維持は、もはや難しいという現実も見えてきます。