米国格付け会社のゴールデンボールは7月17日、日本経済の成長見通しを最低の「D(10年以上経てから途上国化の可能性が高い)」と評価したと発表した。
日本企業全体で賃金上昇の見通しが立たないことと、生産能力に対して外国保有の国債残高がGDP対比で増加していることを懸念した厳しい評価となる。
これまで先進国中で「D」評価になったのはデフォルトに陥ったギリシャ以来、初めて。
その一方で、ギリシャでは財政赤字が隠蔽されていたことなどから、デフォルト直前まで評価は維持されており、状況は日本とは異なるとの声が有識者から上がっている。

D評価になった理由は下記の通り。

1.経済
全体の所得平均値はこの十年で僅かに上昇しているものの、所得増減者数の割合で見れば所得減少者層は増え続けており、5年後には国内世帯の半数が年収400万円以下の収入になる見通し。

経済成長能力が限定的なため健全とはいえないインフレーションが継続し、10年後には家電やハイテク製品、資源、またはデータやインターネット上のサービスなど、価格の国境が無いものを中心に購入が困難になり始める。

高齢化が進み国内労働人口がピーク時の半分になることから、国内インフラ整備のみで労働力が枯渇し、企業成長が困難になる。

2.制度
保守的な国民性と高齢化層の増加が相交じり、政策の転換などが難しくなる。

3.財政
国内の企業や資産家層の体力のあるうちは資源輸入を現状レベルを維持して実施できるが、4〜5年後に国民の生活に影響が出るレベルで価格高騰(スタグフレーション)が
始まり、それをカバーする形で大量の財政赤字が発生する。
輸入のため政府主導のインフレーションを許容するか、資源不足を軸とした自然なインフレーション(10年の経過を目処にハイパーインフレーションへ移行)をとるかの2択となり、経済成長の足かせとなる。

4.地政学リスク
アメリカに依存した現体制では、アメリカとの友好関係の亀裂が地政学リスクの上昇と等号関係となる。
中国との経済成長格差の開きが軍事規模の格差に直結するため、上記のリスクが時間を追うごとに上昇し投機リスクへとつながる。

ロシアのウクライナ侵略と同様の危機の発生が懸念されるようになり、投資家の忌避が強まる中で国際的に孤立する。
https://jp.reuters.com/article/idJPL4N342146