「気づいたら夜の11時くらいということはありました。平日は夕方4時から。休日なんて朝の10時からです。ひとつの勝利への執念ですよね。愛媛の隅っこ、地元の子らの集まるチームを強くする。どこを伸ばせばよいのか。そこを徹底する」

 長瀧の述懐。ヒットエンドランのサインが出た。「コツンと当ててランナーをひとつ進めてアウト」。仕事はしたのにベンチに帰ると怒られた。エンドランでお前は何をすべきか? その場で聞かれた。

「最低でもランナーを進めます」

「違うだろ。ホームランだよ」

 いつしか「牛鬼打線」と称された。郷土の祭りにあやかるのだが、牛に鬼、いかにもピタリときた。

https://number.bunshun.jp/articles/-/858032