当初の試算は「34億円」
 汚染水は原発事故後のかなり早い時点で問題になっていました。多核種除去設備(ALPS)で処理してもトリチウムが取り除けないことは分かっていて、政府(経済産業省)は有識者を集め、このトリチウム水をどう処分するか話し合いました。2013年のクリスマスにはじまった「トリチウム水タスクフォース」という会議です。

※余談ですが、この会議の特徴は「多核種除去設備(ALPS)で処理後の水にはトリチウムしか残らない」という“前提”で話し合われた点です。実際には、炭素14などの放射性物質も取り除けないことが後から広く知られるところとなりました。したがってこの会議は重要な前提が欠けてしまっていると筆者は考えます。

 話を戻します。会議では「地層注入」「海洋放出」「水蒸気放出」「水素放出」「地下埋設」の5つの選択肢が出てきました。これら5案について、2016年6月にまとまった報告書は処分にかかる「時間」と「費用」を試算しました。

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