国土交通省は26日、中古車販売大手ビッグモーターによる自動車保険の保険金不正請求問題を受け、和泉伸二新社長ら幹部へのヒアリングを行った。国交省は聴取結果を精査し、道路運送車両法に違反する疑いが強まれば、整備工場に立ち入り検査する方針だ。
また昨年の社内調査で、上司から不正の指示があったと従業員が回答していたにもかかわらず、最終的に指示がなかったと結論付けていたこともわかった。

「上司指示」 損保ジャパン把握か

ヒアリングは国交省内で2時間にわたり実施され、同社の外部調査委員会がまとめた報告書に記載された不正事案について、事実関係を確認した。同社からは引責辞任した創業者の兼重宏行氏に代わって26日付で社長に就任した和泉氏や、石橋光国副社長ら計5人が出席した。冒頭、和泉氏は「このたびはお騒がせしており、誠に申し訳ございません」と改めて陳謝した。

報告書によると、同社は自動車の修理依頼を受けた際、車体に故意に傷をつけるなどして損害保険会社に修理代を水増し請求したとされる。道路運送車両法は、依頼を受けていない整備による料金請求を禁じている。違反が確認されれば、整備工場に民間車検場の指定取り消しや事業停止などの処分を下すことができる。

同社は107か所で民間車検場の指定を受けている。今年に入り計3か所で速度計点検の未実施などの法令違反が確認され、最も重い「指定取り消し」などの処分を受けた。

和泉氏は聴取後、報道陣に、修理した車両の安全性に関わる新たな事案は現時点では確認されていないとした一方、「他店舗で同じ事案が起きている可能性はあるため、必要があれば第三者の調査委員会を発足させて確認する」と述べた。

一方、同社が昨年実施した社内調査で、従業員が「工場長から不正の指示があった」と回答したのに、最終的に「指示はなかった」と結論付けたことが判明した。関係者によると、損害保険ジャパンと、同社からの出向者も回答を把握していたとみられる。

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230727-OYT1T50079/