政府は、来年秋の健康保険証廃止後に「マイナ保険証」を持たない人に新たに発行する「資格確認書」の有効期限を見直す検討に入った。加藤勝信厚生労働相は28日の記者会見で「有効期限は法律上規定されていない。運用は関係者の指摘も踏まえて検討する」と述べた。「最長1年」としてきた期限は延びる方向。現行の健康保険証との違いはほとんどなくなり、「来年秋の廃止は不要」との声が強まりそうだ。

資格確認書は保険証の廃止後、マイナンバーカードと一体化したマイナ保険証を持たない人が保険証代わりに利用する。政府は資格確認書の新設を決めた2月以降、国会答弁などで「有効期限は1年を限度」とし、継続利用には更新手続きが必要だと説明してきた。

だが、申請を忘れ保険診療を受けられなかったり、1年ごとの更新が本人と保険者双方の負担になったりする懸念が強まっていた。

政府は当初、資格確認書はマイナンバーカードの紛失など例外的な場合に交付することを想定していた。だが、相次ぐマイナカードを巡るトラブルで、現行の保険証廃止への不安が高まると、政府は今月、カード未取得者を把握して申請がなくても資格確認書を広く交付する「プッシュ型」の検討を表明した。

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