大阪が本拠地の日本維新の会が躍進を続けている。一昨年の衆院選、昨年の参院選、そして今年の統一地方選で党勢を拡大。世論調査では政党支持率でも、次期衆院選の比例代表投票先でも野党第1党の立憲民主党を上回るが、どうにも腑に落ちない。格差を拡大する新自由主義路線をヒタ走り、醜聞が後を絶たないのに、なぜ勢いが衰えないのか。「誰が『橋下徹』をつくったか-大阪都構想とメディアの迷走」を上梓するなど、維新政治に詳しい、この人に聞いた。

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 ──創業メンバーの橋下徹元大阪市長は「今の維新は、ふわっとした民意をつかめる組織になってるんじゃないのかな」と発言しています。中ぶらりんの有権者が維新を支えているのでしょうか。

 むしろ、維新に対する支持は底堅い。そうした認識を持たないとダメだと気づいたのは、2019年のクロス選でした。

 ──大阪都構想の賛否を問う2度目の住民投票に向けた機運を高めるため、当時の吉村洋文市長と松井一郎知事がダブル辞職。立場を入れ替えて選挙戦に臨み、圧勝しました。

 現職で信を問う出直し選挙であればまだしも、勝てば丸々4年の任期が手に入る。脱法的で、地方自治の本旨からしてあり得ないと批判的スタンスで取材していたんですが、有権者の判断は違った。自民党中心に組織戦を展開した反維新側は全く歯が立たず、惨敗でした。

 当時の吉村氏は目立つ実績も知名度もなく、橋下氏のエピゴーネンみたいなものでしたが、それでも大勝した。維新人気はメディアに扇動されたふわっとした熱狂と言われますが、それだけではとても語れないと選挙中に実感しました。自然に湧き上がるような維新への期待があると。

■地に足着いた普通の市民が支持

 ──支持層は勝ち組意識が強いとされます。

 維新を支えているのは、地域とつながりの薄いタワマン暮らしの富裕層だとかステレオタイプ化する見方がありますが、そんな単純化はできないし、しない方がいい。私はこの2年ほど維新支持者にじっくりと話を聞いてきました。地域に根差して商売をしている3代目、PTA活動に熱心な保護者、子育て支援カフェを運営する人……地に足を着けて活動する普通の市民はたくさんいますよ。そりゃ中にはタワマン住民もいれば、「吉村さん、カッコええわ〜」で支持する人もいるでしょう。だけど、支持者はこんな層とか、踊らされているとか、乱暴に決めつけない方がいい。

 ──現状分析でしくじれば、戦うに戦えませんね。

 統一地方選前半戦の最終日、松井氏の政治家としての最後の演説は、「松井さん、ありがとう!」とめちゃくちゃ盛り上がっていました。難波の歩道は30メートルにわたって聴衆でギッシリ。その光景をツイートしたら、「カル...

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