フィクションに登場するキャラクターの属性として、今やすっかり定番となった「オタクにやさしいギャル」。今年の冬アニメで話題になった『お兄ちゃんはおしまい!』にも、見るからにオタクにやさしそうな穂月かえでというギャルが登場し、視聴者を虜(とりこ)にしていました。

 しかし冷静に考えるなら、いわゆる「オタク」と「ギャル」は交わることのない存在だったはずです。一体いつから二次元の世界で、このジャンルが市民権を得たのでしょうか。

 ギャルの描き方に一石を投じたキャラクターとしてまず挙げたいのが、木尾士目先生原作の人気マンガ『げんしけん』に登場する春日部咲です。同作はオタクたちが集まる大学のサークル「現視研」の日常を描いた物語で、当初の咲はオタクに厳しいキャラクターとして登場しました。

 そんな彼女は「現視研」のメンバーであるイケメンオタク・高坂真琴に惚れており、どうにかしてオタク趣味を辞めさせようと奮闘します。しかし「現視研」と関わっていく中で、次第にオタク趣味に理解を示すようになりました。単行本1巻の時点で一般人代表のツッコミキャラに収まっており、その後はどんどん異文化に染まっていきます。

 初代『げんしけん』が連載されたのは、2000年代前半頃のこと。当時の空気感からすると、咲のような人物がオタクサークルに打ち解けていく描写は、それだけで斬新でした。

 だからこそ、今でも「オタクにやさしいギャル」の始祖として度々名前が挙がるキャラクターとなっているのでしょう。

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