「私、起業しました!」と、笑顔で語る高校生がいる。東京・青山学院高等部に通う座間耀永(ざま・あきの)さん、16歳だ。

座間さんは、今年6月、言葉の力を育てる作文コミュニティー「非営利型一般社団法人 AZ-Bande(アイジー・バンデ)」を立ち上げ、起業した。

会社名「バンデ」にこめた思い
’22年秋、朝日中高生新聞に載った東京大学「メタバース工学部」の記事を見た座間さんは、迷わず受講。それは中高生向けオンライン講座「起業入門」だった。

「起業という言葉に興味があって参加したんです。ちょうどその頃、プラットホーム作りへの願望があり、具体化したいという思いが強まりました」と語る。

’23年に入り、父に残された時間がないことを伝えられた時、「父の意識があるうちに」と起業を決意。猛烈な勢いで起業に向けて準備を始めた。書類をそろえていく中で困った問題が発覚。未成年のために両親の許諾のサインが必要だった。意識がない父の顔を見ながら、サインの機会を何日も待つことになった。ある日、ふと起き上がれる日があり、奇跡的にサインがかなった。

6月2日、AZ-Bandeがスタートした。仲間うちの作文教室を越える形で、起業に至ったのには、今後の活動を進めていく上で社会的な信用を得られることが大きな理由だった。作文教室などで発生する会費の一部は、CFC(チャンス・フォー・チルドレン)やSDGs関連団体へ会社名で寄付をするとも語る。

起業した数日後、父を永遠の航海へと見送った。葬儀には母に代わってあいさつに立ち、父への感謝と未来を誓ったという。

「やっていることをお話しするとバリバリの高校生のように聞こえるかもしれませんが、今でも泣き虫ですし、はにかみ屋のままなんですよ」とにっこり。

「会社名はアイジー・バンデといいますが、バンデとはドイツ語で絆という意味です」

社名には自分のイニシャルと、父が所有する船の名前を盛りこんだ。

近年、若者のコミュニケーション能力の低下やコロナ禍での自殺者の増加など、若者自身の「言葉」の喪失を想起させる出来事を身近に感じていた座間さん。

「今はスマホがすべて。スタンプや略語といったコミュニケーションの省略が、必要であったものまでも喪失させてしまっているのかもしれません。SNSやオンラインでのコミュニケーションが不可逆的な時代だからこそ、伝わる言葉が大事だと感じています」

起業して何を目指しているのかhttps://news.livedoor.com/article/detail/24727158/
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