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◆日々の暴力、きちんと対策していれば
 20年以上続けた介護の仕事は利用者に感謝されることもあり、やりがいはあったが、現場で暴力や嫌がらせを受けた経験は数え切れない。利用者に蹴られ、かみつかれ、つばをはかれたこともあれば、男性にベッドに押し倒されたこともある。「洋服を買って」などの無理な要求をされて断ると、利用者の家族から「生意気言うんじゃねえ」などの暴言を吐かれた。
 他の職員も同じような経験をしていた。ただ、誰も大ごとにはしていなかった。「殴られても蹴飛ばされても、それも仕事でしょ、という風潮がまかり通っている。相手が認知機能が低下した利用者だと、さらに抗議しづらい」
 施設が、日々発生する暴力に対してきちんと対策していれば、自分が障害を負う必要はなかったと思う。「あの時の暴力が人生を変えてしまった。私の一生をどうしてくれるのか、という思いです」
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