ただ、海外パビリオンの建設の困難さは以前から予想されていた。日建連は数年前から関西の支部などを通じて万博協会に早期の対応を求めていたが「聞く耳をもってもらえなかった」(関係者)という。ゼネコン各社も協会に懸念を伝えていたが「まったく反応がなかった」と明かす。そして、予想通り混乱が本格化した現実に、建設業界は怒りの色を隠さない。

協会はさらに、万博工事に関しては政府に時間外労働規制の上限を適用しないよう打診していた事実も判明した。政府は「単なる業務の繁忙では認められない」(加藤勝信厚生労働相)と受け入れない姿勢を示したが、規制の趣旨を考えれば当然のことだ。

協会は国や自治体、企業などからの派遣・出向職員から成り立っており、物事の決定が遅い問題がかねて指摘されていたが、実際に会場整備を担う建設業界の声をないがしろにしてきた責任は免れない。宮本氏は、撤退する国が出るならば万博の延期も考えるべきだとの考えを示したが、事態はその方向に向かっていると感じざるを得ない。
https://www.sankei.com/article/20230813-CU5ASTT3RJLOHMG2RVOXOA77BA/