【検証】 レーザー光線、エリートの仕業……マウイ島森林火災で偽情報が拡散

シャヤン・サルダリザデフ、マイク・ウェンドリング、BBCヴェリファイ(検証チーム)、BBCニュース

米ハワイ州マウイ島の大規模な森林火災について、うそや誤解を招く情報がインターネットで拡散されている。謎の勢力がレーザー光線で災害を引き起こした――といったものまである。

誤情報はさまざまなアカウントや情報源から投稿されている。全体的に多いのは、「エリート」や政府機関が故意に火災を起こしたと示唆するものだ。

特に拡散されている主張は、災害の「語られ方」に対する疑問の形をとっている。そして、数百万回も閲覧されているにもかかわらず、別の見方は「検閲」されていると主張している。

これらはマウイの森林火災に特化したうわさだが、異常気象や自然災害が起きた後に繰り返し出てくる一般的なパターンとも合致する。気候変動の潜在的な影響を軽視しようとする、政治的動機に基づく活動家たちによる主張だ。

■「エネルギー兵器」

今回の森林火災が自然災害ではなく、「誰かの指示によるエネルギー兵器」や「レーザー光線」、あるいは爆発によって引き起こされたものだと主張する動画や画像が、数百万回も閲覧されている。

マウイ島で火災の直前に大きな爆発があったと主張する動画は1000万回再生された。

しかしこの動画は元々、今年5月にTikTokに投稿された、チリでの変電設備の爆発をとらえたものだ。

同国のテレビ局はこの動画について報じ、爆発は強風によって倒れた変電設備によるものだと認めた。

一方、炎上するハワイの教会の写真の投稿は、教会から空に向けてレーザー光線が出ていると主張し、900万回閲覧されている。

これはデジタル加工された写真だ。AP通信による、8月8日にラハイナ町のワイオラ教会を写したもので、元の写真にはレーザー光線などは写っていない。

他にも2点の偽の画像が、インターネット上で広く閲覧されている。

そのうちの一つには、火の玉とまぶしい光の筋が夜空に上っていく様子が写っている。これもまた、山火事は自然現象ではないという主張が添えられている。

しかし検索の結果、この画像は米オハイオ州の製油所での焼却処分(フレアリング)の様子で、最初に投稿されたのは2018年1月だったことがわかった。光の筋は「太陽柱」と呼ばれる現象で、寒い日に氷の結晶が反射してできる目の錯覚だという。

火災の直前にマウイで大きな光の筋が見えたと主張する、別の似たような画像もあった。だがそれは、2018年5月に米カリフォルニア州で発射された宇宙開発企業「スペースX」のロケットの画像だった。

■なぜ木は立っているのか

マウイ島で住宅や車両が焼失している中、木々がまだ立っていると主張する映像も出回っている。この映像が、火災が故意に作られたもの、あるいは本当の原因が隠されている「証拠」だという主張だ。

「X」(旧ツイッター)へのある投稿には、焼け跡の映像と共に、「木以外はすべて燃えている。だがそれを指摘すれば陰謀論者だ」という文章が付いている。この投稿は2400万回以上閲覧されている。

しかしこの映像には、倒れていないヤシの木と共に、燃えた草木もしっかりと映っている。

パイロファイトと呼ばれる耐火性の高い植物には、断熱機能などによって山火事を生き延びるように適応したものもある。

この投稿は、Xのコミュニティーノート(投稿にほかのユーザーが文脈や事実を付け加える機能)で反論を受けている。

■「エリートによる土地の収奪」

「誰かの指示によるエネルギー兵器」のうわさと共に、マウイ島の富裕層や別荘保有者らが、ラハ...

詳細はサイトで
https://news.yahoo.co.jp/articles/b66ea6014cea5c3b34d3ad8a5f5218516201f875