「男らしさの呪縛」マッチョな男になれない”弱者男性”の苦悩とは【書評】

 批評家の杉田俊介氏は『非モテの品格――男にとって「弱さ」とは何か』『マジョリティ男性にとってまっとうさとは何か #MeTooに加われない男たち』といった著作を残している。
『男がつらい! 資本主義社会の「弱者男性論」』(ワニブックス)もまた、広義のジェンダー論を扱った本であり、先出の2作と共振する内容だ。

 まず、「弱者男性」の定義を提示すべきだろう。
その意味するところは論者によって異なるが、杉田氏の著作では、経済的貧困、失業、労働の非正規性、容姿、
コミュニケーション能力、パートナーの有無などが挙げられている。
その典型例として杉田氏は、映画『ジョーカー』で、ピエロに扮して暴行を働いた主人公アーサーを、
複合的な弱者男性のシンボルと位置付ける。

 弱者男性の辛さは複数あるが、筆者が連想したのは「男らしさの呪縛」。
杉田氏もまた『ドラえもん論』でジャイアンの苦悩に言及している。
映画『ドラえもん のび太の大魔境』では、ジャイアンが自分の失敗を男らしく背負おうとするが、それができずに一人でもがき苦しむ。
のび太たちに自分の弱さを見せられず、陰で一人泣いているのだ。

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