GDP成長率6%!にはカラクリが…訪日客が円安恩恵で爆買い、国民は物価高騰で節約の日々
衝撃の経済成長率だ。内閣府が15日発表した2023年4~6月の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比1.5%増だった。この成長が1年続くと仮定した年率換算は6.0%のプラス成長だ。
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しかし、プラス6%もの経済成長をしている実感は湧いてこない。内訳を見るとカラクリが分かる。
成長を牽引したのが3.2%増の輸出だ。自動車の輸出増のほか、輸出に計上されるインバウンド(訪日客)の消費拡大が寄与した。逆に輸入は原油や医薬品などが減り4.3%のマイナス。輸入の減少はGDPを押し上げる。
驚くことに個人消費は0.5%のマイナスだ。外食や宿泊が増えた一方、相次ぐ値上げの影響で飲食料品や家電製品の消費が落ち込んだ。設備投資はプラス0.03%とパッとしなかった。
「個人消費がマイナスで設備投資は横ばいなら、国民が経済成長を実感しないのは当然です。円安の恩恵を受けた訪日客が『オー! リーズナブル』と爆買いする一方、国民は輸入物価の高騰に苦しみ節約を余儀なくされている。円安が続けば、この二極化は長期化することになります」(金融ジャーナリスト・森岡英樹氏)
■円安進行でさらに二極化
ドル円相場は1ドル=145円台の円安が進行している。米国でインフレが根強いことを示す経済指標が相次ぎ、FRBによる年内の追加利上げもささやかれる。日米金利差は拡大し、この先、円安が加速する可能性が高い。
原油も1バレル=80ドル台から、100ドルに迫るとの見方も出ている。円安と原油高でガソリンの価格高騰は避けられない。
帝国データバンクによると、食品値上げは8月1100品目、9月2000品目で推移し、10月に5000品目超の大きな値上げラッシュが見込まれる。同月の値上げ率は年内で最も高い17.5%に上る。
「自国民がこれだけ物価高に悲鳴を上げていれば、政府や日銀が手を打つ必要があります。しかし、全体のGDP成長率は年率6%と“好成績”が出てしまっています。数字のカラクリを解きほぐし、岸田首相や植田総裁が国民の暮らしに思いを寄せられるのかは疑問です」(森岡英樹氏)
財布の紐を締めながら、安いニッポンに沸く訪日客を眺めることになりそうだ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/2c3d2eaf9b924a619432ac71da9159a69a63b55d