区長宅封鎖、伝統の「盆正月」 長野県南箕輪村田畑

長野県南箕輪村田畑で16日夜から17日にかけ、若い世代が盆休みの延長を求め、区長宅に物を積み上げて出入りできないようにする伝統行事「盆正月」が行われた。農機具やこの日のために作られた正月飾りなどで玄関前を封鎖。松澤武夫区長(69)は片付けに追われながらも「伝統をつないでくれたことがうれしい」とその出来栄えに目を見張った。

 明治時代から続くとされる風習。盆期間も働かされた農家の若者たちが、”実力行使”に出たのが始まりとされる。青年会などを経て現在は地区PTAなどでつくる「伝統行事を守る会」が中心になり、16日夜に子どもたちも参加して約20人ほどでバリケードを築いた。

 コロナ禍のため過去3年は公民館が舞台だったが、4年ぶりに区長宅で実施。地面に石灰で「お正月」の文字を書いたり、門松や鏡餅を模したものなどをバリケードに用いて休日の延長を要求した。

 若い頃は青年会に所属し封鎖する側だったという松澤区長。50年ほど前の当時はバリケードも過熱し「どうやって片付けるんだ」と片付ける側の区役員らに怒られたことなどもあったと懐かしがる。

 一方で今年の出来栄えには「120点。みんなの心がこもっている」と高く評価。次世代への継承を願いながら片付けに取り掛かった。
http://www.nagano-np.co.jp/articles/113930
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