--福島原発汚染水データを直接分析したとのことだが。

「タンク内に正確にどのような汚染水が入っているのか分からないというのが問題だ。我々は答えを探すために努力しているが正確な把握が難しい状況だ。東京電力の汚染水抽出データを分析した結果、不完全で不正確で一貫性がないと判断した」

--東京電力の汚染水調査では安定性を立証するには不十分ということなのか。

「東京電力で測定したタンクの汚染水の情報が代表性を持つのは難しいと感じた。東京電力では64の放射性核種を測定していると明らかにしたが、共有された資料を見ると9つの核種しか検査していなかった。また、タンクの4分の1だけで測定したが、主にタンク底にある高水準のスラッジ(カス)廃棄物の濃度に対しては情報が一切ない」

◇「放流時、漁業に影響が懸念される…影響は急速に広がる」

--日本政府は米国と韓国でも原発運営過程で三重水素(トリチウム)が含まれた水を海に放流しているとし、基準値以下に薄めて放流すれば問題がないと主張しているが。「中国と米国、韓国の原発は正常運転中に放流しているが、福島の場合、事故後の放流なので正常な運転状況と見ることはできない。事故がまだ続いているのに放流するのは不必要な危険行動を行うことだ」

--予定通りに汚染水を放流した時、最も憂慮される点は何か。

「最も憂慮する点は漁業産業への影響だ。太平洋諸国は漁業に依存している。ところでセシウム-137が検出されたマグロが、福島事故後、まだ1年も経たない内に米サンディエゴ海域に到達した。魚類が放射能を吸収して動く速度は海流の移動速度よりも速いので急速に影響が広がるだろう」

◇放流の代わりに提示した3つの解決法は?

べレス氏は海洋放流の代わりに3つの解決策を提案した。(1)耐震設備が施されたタンクに汚染水を長期保存し、放射性物質が崩壊する時まで待って(2)放射性物質ろ過能力を備えたカキなど生物学的方式で汚染を浄化して(3)コンクリートを製作するのに汚染水を活用しよう--というものだ。

--汚染水でコンクリートを作れば海洋放流よりも安全なのか。

「(汚染水に含まれた)三重水素は測定するのが難しいほどコンクリート中に吸収される。これを人の接触がほぼない橋梁建築などに使おうというものだ。このようにすれば国境を越える問題を引き起こすこともないだろう。だが、日本は最も費用がかからない『放流』を選択した」