【年金月額14万円】70歳専業主婦、夫亡き後の受給額に「超ションボリ」、【年金月額6万円】子のない自営業妻「危機だ」【FPが解説】
8/26(土) 11:02配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/3c15119f6ba55f06c64715f303bbd0088061067f?page=2
夫を亡くした妻は、年金額に注意が必要
先生:もうひとつ、注意していただきたいことがあります。それは、配偶者の1人が亡くなったとき、年金が減額されることです。たとえば、70歳の高齢者夫婦の場合、万一奥様が亡くなれば、ご主人はご自身の年金だけとなります。つまり月16万円です。

生徒:月16万円ですか。1人暮らしで寂しくはなると思いますが、生活はなんとかできそうですね。もっとも、急な医療費の出費などがあれば、苦しくなりそうですが…。

先生:問題は、ご主人のほうが先に亡くなった場合なんです。奥様は、国民年金のほか、遺族厚生年金として、ご主人が受け取っていた厚生年金の報酬比例部分の4分の3を受け取ることができます。簡単に計算しますと、奥様が受け取ることができる年金は月14万円くらいになります。

生徒:夫が先に他界すると、妻の年金はガクッと減らされるということですか!

先生:そうです。配偶者を亡くしたあとの年金は、専業主婦の妻のほうが厳しいのです。そうはいっても、東京都では、生活保護の最低生活費の支給を受けることができます。生活扶助が約7万円、住宅扶助が約5万円です。どんなに生活が苦しくなっても、社会保障で守られていると考えておきましょう。

生徒:そうなのですね。しかし、家賃が5万円というのは厳しいですね…。いまは賃貸マンションに住んでいますが、主人が他界したあとは、小さなアパートに引っ越そうと思っています。

先生:賃貸住宅へ入居するには、連帯保証人が必要です。入居時、保証人になってくれる親族が見つからなければ、入居は難しくなります。賃貸アパートのオーナーは、孤独死のリスクを懸念して「高齢者のおひとり人様」との賃貸契約を敬遠します。契約ができなければ、地方の田舎に移住するか、URの賃貸住宅に入るしかないでしょう。

「自営業の夫+専業主婦」の場合は、さらに深刻

生徒:もうひとつ教えてください。私の妹も子どもがなく、夫と2人暮らしをしています。夫は自営業でWebデザイナーをしていましたが、妹は病気がちなため、ずっと専業主婦です。妹夫婦の場合も、年金は月22万円くらいなのでしょうか?

先生:いいえ。「自営業の夫+専業主婦」の場合は、会社員の夫のケースとは計算が違います。この場合のご夫婦の年金は、それぞれの国民年金が満額支給されるとしても月12万円に過ぎません。しかも、ご主人が亡くなったあと、「遺族基礎年金」はもらえません。つまり、ご主人亡きあとの妹さんの年金は、月6万円です。ここが、夫が会社員の妻と大きく違うところです。

生徒:6万円!? それでは生きていけないではないですか。なにかの間違いでは…。

先生:いいえ。間違いではありません。

生徒:私は「遺族厚生年金」をもらえるのに、自営業者の妻である妹が「遺族基礎年金」をもらえないのはなぜでしょう? 本当に人生の危機ですよ。

先生:遺族基礎年金の受給対象者は、原則として、18歳未満の子のある配偶者、または18歳未満の子どもです。妹さんには18歳未満のお子さんがいないので、遺族基礎年金はもらえません。夫が会社員か、自営業者かによって、夫を亡くした妻の年金は大きく異なってきます。年金で暮らせなければ、生活保護を受けるしかありません。

こうなったら「死ぬまで働く」と腹をくくるしか…

生徒:私たちはどうすればよいのでしょうか?

先生:働き続けるしかないでしょう。高齢者の就労環境の整備が進んでいますので、身体が動く限り働き続けるのです。そして、年金の繰下げ受給をおこない、毎月の年金額を増やすようにします。75歳まで受給開始を繰り下げることができれば、65歳でもらう年金額の1.8倍を、毎月もらえるようになります。

生徒:私たちの老後は本当に厳しいですね…。私も、とりあえず働くことを考えます。「命はあるがお金がない」という状況だけは回避したいですね。

岸田 康雄
国際公認投資アナリスト/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認会計士/税理士/中小企業診断士