【詳報】消えた障がい者3人の年金 劣悪な環境で人権を害する労働 恵庭市も隠ぺいか 牧場と市を提訴

恵庭市にある牧場で働いていた知的障がいがある3人の男性が障害年金を牧場の経営者に横領され、経済的虐待を受けたとして、牧場を相手取り訴えをおこしました。

恵庭市にある「遠藤牧場」その敷地に建つ一軒のプレハブ。ここには3人の男性が住みこみで働いていました。水道もなく与えられていた食事は-。

「朝はごはんと卵とお湯」
「昼、夜はカップ麺やパン1個」
「野草も拾って食べることがある」
「給料はもらってない」

障害年金も受け取れないまま、暮らし続けていたという3人。牧場を経営していたのは、恵庭市の市議会議員で、かつて議長だった男性です。プレハブに水道はなく、飲むための水は、牧場の豚舎の隣にある「処理室」の水道から汲んでいました。水を汲んで部屋に置いていたペットボトルはボウフラが湧く不衛生な状態。

弁護団)
「ストーブはあった?」
牧場主で働いていた人)
「燃料使ったらダメと…」

3人は現在、いずれも60代。中にはおよそ45年間にわたって、働いていた人もいます。

資料が残る限り、3人には遅くとも1989年から障害年金が支給されていました。しかし、その障害年金が振り込まれている3人の口座は牧場主が管理していて口座に残っていないといいます。その額は3人あわせて、およそ5000万円にのぼります。

口座を管理していたのは牧場主の遠藤昭雄(えんどうあきお)氏。2020年2月に病気のため、81歳で死亡しました。遠藤氏は生前、恵庭市議会の議長も務めた人物です。

遠藤氏を知る人)
「知的障がい者の方を、僕が子どもの時からずっと雇っていましたからその方の預金通帳を管理していたということだと思うんですけど、本当に面倒見のいい方で、いろんな方の世話をしていた」

周りからの人望も厚かった遠藤氏。遠藤氏の妻はカメラの前でこう語りました。

遠藤氏の妻)
「よその牧場で扱えないので父さん(遠藤昭雄氏)が「うちで引き取って置いとくか」って」「それで父さんが「俺がみな使うぞ」って「かかるものはもらうぞ」って。「横領なんてしていない」

Qお金は返した?
「それは使っているから食べさせたり、自分たちの生活をするのに」

遠藤夫妻が3人の障害年金を横領していたのではないか。その疑惑が浮上したのは、2016年です。

恵庭市へのある情報提供がきっかけでした。
「遠藤牧場で働いていた障がい者が助けを求めてきた」

このころ、経営状況が悪化していたという遠藤牧場。
住み込みで働いている3人が、行くところがなく困っているという相談が、恵庭市に寄せられました。
そこで恵庭市と、市が業務委託している「障がい者総合支援センター・e-ふらっと」が改めてくわしく状況を調べることになったといいます。

https://www.htb.co.jp/news/archives_22189.html