https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-66625906

英ポーツマス大学のジェイムズ・スミス教授(環境・地質学)は、排水は貯留時に処理プロセスを経ている上、さらに希釈されているため、「理論上は飲めるものだ」と話した。

フランスで放射能レベルを測定する研究所を運営する物理学者のデイヴィッド・ベイリー氏も同じ意見で、「重要なのはトリチウムの濃度だ」と話した。

「この程度の濃度でならば、例えば魚の個体数が極端に減少するなどしない限り、海洋生物に問題はない」

しかし、海洋放出の影響は予測できないと指摘する科学者もいる。

米ジョージ・ワシントン大学のエネルギー・環境関連法の専門家、エミリー・ハモンド教授は、「放射性核種(トリチウムなど)が難しいのは、科学が完全に答えることができない問題を提示するからだ。
つまり、非常に低いレベルでの被曝(ひばく)において、何が『安全』と言えるのかという問題だ」と述べた。

「私たちは、たとえ基準が守られたからといって、その決定に起因する環境や人体への影響が『ゼロ』になるわけではないと、それを認めつつも、IAEAの活動を大いに信頼することができる」

全米海洋研究所協会は2022年12月、日本のデータに納得していないとの声明を出した。

米ハワイ大学の海洋学者ロバート・リッチモンド氏はBBCの取材に対し、
「放射性物質や生態系に関する影響評価が不十分で、日本は水や堆積物、生物に入り込むものを検出できないのではないかと、とても懸念している。
もし検出しても、それを除去することはできない。(中略)精霊ジニーをランプに戻すことはできないのだ」と述べた。