中国で何年も蓄積されていた課題に世界がようやく気付きつつある。中国経済の減速を受け、米国との対比だけでなく、不安と同時に羨望(せんぼう)の的でもあった高成長時代の中国との比較も相次いでいる。

  しかし、中国経済がデフレに陥りつつあるとの見方もある中、こうした暗い雰囲気を表現する上で、「日本化」という言葉が使われる頻度が増えている。確かに、不動産市況の悪化や急速に進む高齢化、米国との貿易摩擦など、表向きには1990年代前半の日本との類似点がある。

  かつて、中国の台頭は不可避であり、これは同国特有の性質のたまものだとされる一方、日本による問題対応には誤りがあり、これは避けるべき反面教師とされた。今では中国でも物価が下落し、需要も伸び悩んでおり、日本と同じ道をたどりつつあると主張するのがあまりに容易となっている。

  中国の状況は日本のバブル経済とはかなり異なる。それだけではなく、(あくまで仮定の話だが)中国経済が本当に転換点にあるなら、日本のようになるのは中国が望み得る最善の結果かもしれない。日本化ははしゃぎ過ぎたアジアウオッチャーが考えていたような悪夢のシナリオでは決してなかったのだ。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-08-31/S06GJGT0G1KW01