長い黒髪、剃って幸せ インド「黒いダイヤ」輸出を支える信仰心:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASR8V4S10R7WUHBI02Q.html
https://www.asahicom.jp/imgopt/img/de65e7335d/comm/AS20230830001428.jpg
https://www.asahicom.jp/imgopt/img/0da0c0c5d1/comm/AS20230826001747.jpg
https://www.asahicom.jp/imgopt/img/7b182a312b/comm/AS20230826001749.jpg

「黒いダイヤ」

 長く美しい黒髪は、そんな風に呼ばれることもある。高値で取引される商品だからだ。

【連載】インド新時代
世界一の人口になったとされるインドには、あまり知られていない「大国」の顔があります。インドのいまを伝える「インド新時代」の第2弾は、そうした一面に光を当て、日本とは異なる価値観や文化も紹介します。
 インド商工省によると、2022年度の人毛の輸出額は147億ルピー(約247億8千万円)で、前年度より18億ルピー増えた。中国の輸出額ははっきりしないが、インドが世界屈指の「毛髪輸出大国」であることは間違いない。

ADVERTISEMENT


 世界一になったとされる14億人超の人口のおかげだけではない。

 「信仰心に基づく安定した髪の供給量がインドの強み。輸出量の約25%は、ヒンドゥー教寺院からもたらされている」

 南部チェンナイで人毛輸出業を営むジョージ・チェリアンさん(44)は話す。

 6月下旬、彼の「取引先」だという南部アンドラプラデシュ州のティルパティバラジ寺院に向かった。

 寺院は「ヒンドゥー教の聖地」の一つで、高地にある。サルやシカが出没し、「ヒョウに注意」の看板も立つ峠道を、裸足の信者たちが列をなして登っていく。1日平均約8万人。その半数が参拝前に頭を丸め、髪を捧げるという。

■「美の象徴」をカミソリで…

この記事はicon_key_gold_l.gif有料記事です。残り1093文字
有料会員になると続きをお読みいただけます