「年収400万円」は、もはや「高級取り」か…日本が「間もなく迎える辛い現実」

(中略)

まず全体の平均給与。1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均額は443万円(男性545万円、女性302万円)です。内訳としては、平均給料・手当が377万円(男性460万円、女性262万円)で、平均賞与は67万円(男性86万円、女性41万円)となっています。

年収443万円となると、概算で月収37万円。手取りとしてはざっと29万円ほどになります。最新の2人以上の世帯の消費支出が約27万5,545円ですから(令和5年6月分/総務統計局家計調査)、家族を養うにはあまりにカツカツな金額であることがわかります。

上記はあくまで平均額。構成比別に見ると、また違った様相が明らかになります。

「300万円超400万円以下」が最多という事実。年収400万円を超えたら、相対的には「高給取り」ともいえるわけです。多くの日本人にとって、「2,000万円の貯蓄」が、改めて途方もない数字であることを痛感するデータです。

ちなみに平均給与を業種別にみると、最も高い業種は「電気・ガス・熱供給・水道業」の715万円です。次いで、「金融業・保険業」の677万円。最も低いのは「宿泊業・飲食サービス業」の260万円でした。少し意外に思われた方もいるでしょうか。生活の根幹を支えるインフラ系は、景気変動の影響を受けにくく、高給を安定して受け取ることができます。

年収400万円はもはや「高給取り」か…業種での差も鮮明に

業種によって定義は異なりますが、日本に存在する会社の9割以上が中小企業です。特に飲食サービス業の場合は個人経営の店も多く、「生活ギリギリ」の採算を取っている場合も少なくありません。

1人当たりの平均給与を年齢階層別にみると、男性では60歳未満までは年齢が高くなるにしたがい平均給与も高くなり、55~59歳の階層が最も高い給与を受け取る傾向にあります(女性の場合は年齢別の顕著な差は見られませんでした)。

「真面目に働き続ければ、コツコツお金は増えていくんだな」。そう信じたいところですが、昇給コースには、とんでもない落とし穴が待ち受けています。税金です。

納税額について給与別に見てみると、年間給与「800万円超」の給与所得者は512万人であり、全体の9.7%しか存在していません。しかし彼らの納税額の合計は「7兆130億円」。全体の65.2%を占めています。

日本は累進課税。「年収1,000万円あたりが一番損をしている」というのは一説として語られています。年収が1,000万円あっても、税金や社会保険料の重たい負担のために手取りは600~700万円にまで減ってしまうのです。

家計調査より作成された内閣府の資料によると、直接税・社会保険料等がもっとも多いのは45~54歳。実収入のおよそ20%にあたる金額が引かれています。

稼ぐも地獄、稼げずも地獄。日本政府のおびただしい財政支出は、遅かれ早かれ「徴税」という形を以て国民から回収されることでしょう。日本での「資産形成」は、困難の一途をたどっています。

https://news.yahoo.co.jp/articles/5b6df961af2b9dd4f246d38d970ed92bcef0010f