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2023.09.01

映画「福田村事件」が9月1日に公開され、東京・新宿のテアトル新宿で森達也監督、W主演の井浦新、田中麗奈らが出席し舞台挨拶が行われた。

同作はドキュメンタリー映画で名を馳せる森監督の「劇映画」長編デビュー作。今から100年前に発生した関東大震災の時に、千葉県東葛飾郡福田村で行商団9人が地震後の混乱の中で殺された虐殺事件をモチーフとしたもの。関東大震災時に各地で起こった「朝鮮人虐殺」、そして朝鮮人に限らず"善良な人々"が殺された日本の負の歴史をつまびらかにする問題作が関東大震災から100年のこの日に公開された。

森監督は今回、この作品を手掛けた理由について「集団のメカニズムというか、それは僕の中でオウム真理教のドキュメンタリー映画を撮ってからのずっと基本的なテーマだったので、その意味でも朝鮮人虐殺もぜひ形にしたいと思っていた。特にこの事件は朝鮮人差別、被差別部落問題という日本の近代のゆがみが2つ重なっている。だからそういう意味では話としても重層的にできるし、単なる加害側と被害側だけでなくいろいろな視点も作れるので、劇映画にふさわしいのではないかと思った」と語った。

そして作品が日本ではタブーとされる内容を扱っていることから「キャスティングにかかる前にプロデューサたちと打ち合わせしながら“ところで、これって誰が出るの?”という話になった。井浦さんはなんとなく内定的な感じがあったんだけど。“東出さんも出たいと言っている”みたいなことを聞いて、じゃあ2人だけかなとか思っていた。でもイメージキャストをして、打診していったら、スケジュール的に無理だった人を除けば、皆さんほぼ即答してくれてビックリした。オーディションも1000人以上の方が応募してくれて、コメント欄に“こういう映画を待っていた”みたいなことを書いてくれる人がとても多かった。始める前は、これはどう考えても反日映画と批判され、上映中止運動が起きて、劇場もどこも扱ってくれないみたいな、そういうことになったら俳優には何のメリットもない、と危惧していたが、少なくとも俳優の皆さんには“やっぱりこういう状況はおかしい”“なんで日本映画はここまでダメになってしまったのか?”という思いがあったのかなと今、思っています」と明かした。