デジタル福祉導入のセルビア、締め出される最貧困層
https://jp.reuters.com/article/serbia-rights-ai-idJPKBN30A0B2

[ベオグラード 29日 トムソン・ロイター財団] - ベオグラード出身のシングルマザー、ジョバナ・アンジェラさん(43)はこれまで、料理人や清掃員からツアーガイドまで、さまざまな職種をこなしてきた。それでも生計を立てるには生活保護に頼る必要があった。ただ、昨年、セルビアで新たにデジタル福祉システムが導入されると、アンジェラさんは制度から締め出されてしまった。

セルビア政府は昨年、ソーシャルカードシステム(社会保障カード)の発行を開始した。生活保護をより公平なものにし、不正行為を防ぐ制度だと歓迎されている半面、アンジェラさんのように手当が受け取れなくなってしまった低所得者がセルビア国内に何千人もいると反貧困活動家は指摘する。

毎月1万セルビア・ディナール(約1万3500円)の生活保護を受け取る権利があると話すアンジェラさんは、ソーシャルワーカーに助けを求めた。だが、何の説明も得られず、決定に異議を唱える手段も示されなかったという。

「(ソーシャルワーカーには)政府が発行したソーシャルカードを信用している、と言われた。それだけだった。私には、なすすべがない」とアンジェラさんはトムソン・ロイター財団に話した。

「涙が出てきた。衝撃を受けたからだ」

アンジェラさんは複数の短期季節労働や職業校訓練の助成金が定期的な収入として誤って登録されており、それが原因で生活保護システムから削除されてしまったと推測している。

(以下略)