ゴルフ場の池に落ちたボールを回収する

求人統計データによると、清掃スタッフの平均年収は350万円。
だが、清掃職でも稼げる職業がある。
それがゴルフ場の池に落ちたボールを拾い集め、換金して収入を得る、ゴルフボールダイバーだ。
現在全国各地を回る木村洋志さん(35歳)が、この仕事を生業にしたきっかけとは。

「28歳の頃に沖縄のダイビングショップに勤務、ダイバーインストラクターの資格を取得しました。そんな時に大阪のロストボール回収業者から話が来てこの仕事を知って」

回収したゴルフボールの相場は?

水深は、平均2〜3m。深い所になると20mに及ぶ。
手網ではすくえない深さのため、ゴルフボールダイバーは重宝される職業なのだ。
拾ったボールは契約業者が買い取るシステム。その相場は?

「メーカー次第だが、1個につき平均10円。5000個集めたら5万〜7万円。セレブが集まる軽井沢や沖縄などのゴルフ場だと高級メーカーのボールが落ちているので高く売れます。僕は1か所で5000個、時には2万4000個を回収できたことも」

多い月は月収100万円を超えることも

では、どのようにして人より多くのボールを拾うのか。

「一度潜ると2時間は出てきません。水中は真っ暗で、手探りで探さなくてはならない。やみくもではなく、池を一周してある程度アタリをつけるのが多く拾えるコツですね」

現在、週3〜4日で夕方から夜にかけて稼働している木村さん。月の平均収入は?

「月により変動しますが、平均月80万円くらい。多い月は100万円を超えることも」

危険と背中合わせの仕事

ゴルフボールダイバーは、ダイバーインストラクター資格があれば稼げる仕事だが、生半可に飛び込むべきではないと木村さんは警鐘を鳴らす。

「誤って水中の変なトンネルに迷い込み、抜け出せなくなったことも。氷が張った池は潜った場所を覚えておかないと戻れない危険もあります」

ボールの買い取りは業者を通すべき

また、ボールの買い取りには、業者を通すことが重要。

「夜中に忍び込んでボールを拾っていく“泥棒ダイバー”がいる。これは犯罪です。経験が浅いと事故にもつながる。明け方、池にダイバーの死体が浮いていたことも」

ゴルフボールダイバーは、一攫千金も夢ではないブルーオーシャン。
しかし、ボールを取るか命を取られるか──。危険と背中合わせであることを忘れてはならないようだ。

【木村洋志さん(35歳)】
Twitterやインスタにてゴルフボールダイバーについて啓蒙活動を行う。テレビや雑誌など数々のメディアから取材を受けたことも

<取材・文/週刊SPA!編集部>

―[低年収業界でも[1000万円稼ぐ人]の肖像]―
https://news.yahoo.co.jp/articles/ae0c0d845d8617403f0c039dc2a1b61004dfed1a