資生堂の福原義春名誉会長が死去 創業家出身、海外戦略を推進 - 産経ニュース
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資生堂の創業家出身で、同社社長や会長などを歴任した名誉会長の福原義春(ふくはら・よしはる)氏が老衰のため死去したことが5日、分かった。92歳。葬儀・告別式は近親者で執り行った。

昭和6年生まれ。慶応大経済学部卒業後、資生堂に入社。同社の大卒定期採用1期生となったが、創業者である福原有信氏の孫として幼年期から培った文化理念を発揮し、日本では珍しかったキャンペーン宣伝で外資系に出遅れていたメーキャップ化粧品分野でも地位を確立した。

フランス、ドイツに現地法人を設立し、中国にも進出するなど海外市場の拡大戦略を推進。資生堂を世界的な化粧品会社に成長させる基盤を築いた。

昭和62年に第10代社長に就任。在庫削減などの改革に取り組んだ。小売店に定価販売を求めることが独占禁止法違反に当たると指摘された公正取引委員会との対立では、勧告の受け入れを決断。化粧品の安売りが一般化するきっかけをつくった。社長の在任期間は10年に及び、平成9年には社長職を退いて代表権のある会長に就任、13年には現職の名誉会長に就いた。

財界きっての読書家で、エッセーを執筆するなど著書も多く、文化人としても知られる。東京都写真美術館館長や企業メセナ協議会会長など多数の公職も歴任。16年には旭日重光章を受章した。