>>15
警察が検挙数を上げる為に無理矢理犯罪者を作り出してるという話でそこをスレタイに入れなかった自分のミスです


――どういう倫理観で検挙していましたか?

交番勤務の頃は、自転車泥棒をメインに検挙していましたが、窃盗罪には被害者がいるので、検挙することに社会的な意義があると感じていました。

ただ、次に配属された警ら隊は「犯罪を検挙してナンボ」の世界。そうなると「とにかく検挙したい」とか、「この人をなんとかして犯罪者にできないか」という思考に変わっていくこともありました。

たとえば、BBQや釣りのために使用して、車に積みっぱなしにしていたナイフを、銃刀法違反で検挙するとか。

そういう検挙には社会的な意義は全くないと、当時から感じていました。世の中の役に立ちたいという思いでもなく、ただ自分が組織に評価されたいという気持ちだけ。検挙数が多ければ給料も上がりますし、昇進試験のポイントにもなるので。

要するに、本来は犯罪検挙をするための職質が、「自分の欲望を満たすためのツール」になってしまうんです。そうではない警察官もいますが、警ら隊にいるほとんどの人間は、かつての僕と同じ思考回路だと思います。
未だに後悔する事件

――そのようなポイント稼ぎのための検挙を象徴するエピソードはありますか?

「これは良くなかったな」という検挙については、未だに覚えています。

走り屋と思しき男性の車を停めたら、車内に鉄の棒があって。本人曰く、フロントのボンネットを支える棒が折れているから、その代わりに持っていると。

実際にボンネットの裏に傷が付いていたので、彼の主張は嘘ではないな、と僕は感じていて。

ただ、運転席の足元に棒が置いてあったことを、パトカーに同乗していた警察官の上司が「これは武器だ」と主張して。僕は異を唱えましたが、「いや、事件として処理する」と上司は譲らず。

部下なので従うしかなく、事件として処理することになって。調書を取る時、本人は認めていなかったんですが、なんとかそれもねじ伏せて。最終的には本人も「もういいです。好きにしてください」という感じで、罪を認めました。

凶器携帯は軽犯罪法違反なので、軽い罰金程度ですが、犯罪歴が残りますし、本人からすれば決していい出来事ではないですよね。

結局、その検挙によって、一人の人を犯罪者にしてしまったわけです。僕としては、上司に強く進言できなかった悔いが今でも残っています。