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文芸春秋3月号(2004年)
虫取り仏教談義 養老孟司氏(解剖学者、北里大学教授)

宗教を甘く見るな。
世の中には政治でなく、宗教にまかせておくべきことがあります。
靖国神社問題など、その典型でしょう。小泉総理が靖国を参拝すると、
進歩的なマスコミは「憲法違反だ」といって騒ぐ。一国の指導者が
戦争で死んだ人間に敬意を表すのは、当たり前のことでしょう。
何人死のうと構わないのなら、金正日や毛沢東になってしまう。
戦争を反省していないのは、中国や北朝鮮の方です。

A級戦犯を合祀してあるからいけないのだ、という。死者に人格が
あるとみなすのは、西洋近代化思想の刷り込みに過ぎません。誰が
祀ってあるかなど、決める必要はない。「戦争で犠牲になった人を
みんなお祀りしています」といえばすむことです。

鎌倉の鶴岡八幡宮には、毎年二百万人が初詣に訪れる。その四割は
「家内安全」を祈るそうですが、もともとあれは源氏が建てた戦の
神様。そこにお参りするから、日本はいまだに軍国主義だとでも
言うのか。

なんでも理屈で割り切れると思うのが、自分は近代人だと思ってい
るインテリの悪い癖です。靖国神社の代わりに、「無宗教の国立
追悼施設を作る」なんて話が出てくるのも、宗教を甘く見ている
証拠でしょう。