ロシアはいつまで戦い続けられるのか…そのカギを握る経済は、西側から厳しい制裁を受けながらも、今年4−6月期のGDPがプラス成長に転じました。今年通年でも前年を上回る見通しで、それは戦時下の好景気とも言える様相。いったい何が、ロシア経済を支えているのでしょうか。ロシアの専門家に聞きました。

アンドレイ・コルトゥノフ氏
「全体としてロシア経済は、かなりの耐久力を見せています。今年は、大きくはないものの、はっきりとした経済成長が見込まれています」

ロシア経済は、かなりの耐久力を発揮していると語るのは、プーチン政権に近いシンクタンク、「ロシア国際問題評議会」の前会長、アンドレイ・コルトゥノフ氏。その粘り強さのわけを聞くと…

アンドレイ・コルトゥノフ氏
「軍事費の増加、兵器製造のための支出の増加も全体の統計に反映されているのを忘れてはなりません。当然、成長の大部分は国防調達によるものです」

戦争の長期化で膨れあがる軍事費が、経済を押し上げていると指摘するコルトゥノフ氏。他にも戦時下の好景気を支えるものがあると話します。

アンドレイ・コルトゥノフ氏
「例えば、今年は建設部門の大きな伸びがあり、ロシアの経済成長の推進力のひとつになっています。おそらく、今年は、農業部門も良いでしょう。ロシアの農業部門は、輸出を含め、成長の大きな推進力のひとつです。西側やロシアの多くの専門家が1年から1年半前に予想していた以上にロシア経済が成長しているのは、複合的な理由によるものです」

ロシア経済は、プーチン政権になってからエネルギーや穀物の輸出を柱に成長してきましたが、西側諸国に比べるとグローバル化は進展せず、西側の制裁が効きにくい構造だとも指摘します。

アンドレイ・コルトゥノフ氏
「忘れてはならないのは、人々が現在の状況を考えるとき、20年前のロシア、例えば90年代の状況と比較することが非常に多いということです。人々は、現在の状況は、当時よりも良いと考えるのです。そのため、ロシアの社会は順応性が高いと言うことができ、たとえ、現在の状況が消費に影響を及ぼし、何らかの問題を引き起こしたとしても、新しい状況に自らを適応させていくのです。特別軍事作戦の開始やロシアと西側の断絶に特に不満を抱いていたのは、ほとんどがロシア国外に去った人々であることも忘れてはならないでしょう」

そして、コルトゥノフ氏は、ロシア経済の今後について3年程度の短期では崩壊しないと予測します。

アンドレイ・コルトゥノフ氏
「私の推定では、少なくとも今後1〜2年、あるいは3年程度の短期では、ロシア経済の劇的な崩壊は起こらないでしょう。西側の政治家が話していましたが、ロシアは自らがこうありたいと思うほどには決して強くはないが、私たちが考えるほど弱くはないということはよくあるのだと。これは、現在のロシア経済とロシア社会を特徴づけていると私は考えています」

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/706683?display=1