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冷蔵倉庫の在庫率、7月32.6% 5カ月ぶり低下

日本冷蔵倉庫協会(東京・中央)がまとめた主要12都市の冷蔵・冷凍倉庫の7月の在庫率は32.6%と、前月から0.1ポイント低下した。低下は5カ月ぶり。前年同月と比べると1.6ポイント高い。食品の在庫が積み上がりスペースに余裕がなくなり、入庫が減少している。出庫は引き続き低調で、在庫率は当面高い水準が続きそうだ。
在庫率は通路や荷役用スペースなども含めた倉庫の容積に対する貨物の在庫量を示す指標で、38%が満杯の目安とされる。都市別には、横浜が45.2%と6月の38.1%から急上昇した。東京が41.1%、大阪が32%などと続く。

同協会が参考として公表している、収容可能なスペースに対する貨物量である庫腹占有率は、12都市で96.2%と満杯に近い。東京では108.2%、横浜では106.2%、神戸も101.3%と100%を超える都市もある。

7月の低下は入庫が減った影響が大きい。入庫は前年同月から4万2132トン(4%)減った。

倉庫の事業者によると、首都圏を中心に「空きスペースがなく、出庫した分しか入庫できない」。輸入業者が輸入を減らしたり、スペースのある地方の倉庫への入庫に回したりして、都市部への入庫量が減っているとみられる。

出庫量は前年から2万7209トン(2.5%)増えた。倉庫のスペースを空けるため、食肉などでは卸値を引き下げて在庫を出す例もあるといい、こうした動きが広がった可能性がある。

原発処理水の海洋放出が在庫率の高止まりにつながりかねない、との声も出ている。高級な食肉や水産物などの消費の中心である中国からの団体旅行客について、日中関係の悪化で訪日が進まず、食品の出庫が増えないとの指摘がある。