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「コロナ禍が明け、これからという矢先に…」沖縄・本部港のバースが台風で損壊 クルーズ船入港できず

 国際旅客船の拠点港に指定されている沖縄県本部町の本部港のクルーズ船対応バースが台風6号の影響で損壊し、船が入港できない状態が続いている。バースに高波が打ち付け、コンクリートの剥離やひび割れが複数カ所で発生した。港を管理する県が被害の確認を進めるものの、利用再開のめどが立たない。
 本部町の平良武康町長は6日、県北部土木事務所に早期復旧を要請。「沖縄本島北部の観光振興のために重要な港。地元として一日も早い復旧を強く望む」と語った。

 本部港へのクルーズ船入港は、統計がある2003年から23年までで29件。

 クルーズ船の接岸できるバースがないなどの課題がある中、国土交通省は17年、国際クルーズ船による訪日客誘致の拠点となる「国際旅客船拠点形成港湾」に本部港を指定。クルーズ船が岸壁を優先的に使用できるなど、受け入れ態勢の整備を進めてきた。

 県は本部港でクルーズ船対応バースの造成を始めた。約51億円で、長さ約420メートルのバースを整備。22万トン級の客船まで接岸できるようになった。

 積極的な活用が期待されてきたが、拠点となった17年以降で入港は9件。クルーズ船対応バースの使用開始が、コロナ禍の22年だったことも影響している。19〜21年までの寄港は0件。22年6月に受け入れを再開した後も、利用は2件と少ない。

 県内の主要港となっている那覇港では23年で、すでに約50件入港している。

 今回のバース損壊を受け、平良町長は「思うように利用が伸びていないが、クルーズ船の受け入れ態勢が整い、コロナ禍も明け、これからという矢先だった」と述べ、早期復旧の必要性を強調した。県の担当者は「水中調査などを進め、復旧を急ぐ」と話している。