《ジャニーズ性加害問題》ジュリー氏「代表取締役残留」は相続税支払い免除のためだった 国税庁関係者は「被害者やファンを馬鹿にした話」
「週刊文春」編集部

9月7日の会見で、ジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子氏(57)は、社長からの引責辞任を発表した。
だが、同時に「性加害の補償への取り組み」を理由に、代表取締役の留任を明かしていた。

会見に先立ち、「外部専門家による再発防止特別チーム」は、性加害問題の背景に同族経営の問題があると指弾した上で、
ジュリー氏は代表取締役社長を辞任し、「解体的出直し」を図るべきだと提案していた。

「事業承継税制」を申請し、巨額の相続税を免除

なぜ、それでもジュリー氏は「代表取締役」に居座ったのか。その主な理由が、ジャニーズ事務所が「事業承継税制」の特例措置で税優遇を受けるためだったことが、「週刊文春」の取材で明らかになった。同誌の取材に対し、ジャニーズ事務所も事業承継税制の特例措置を申請し、適用されていると認めた。

ジャニー氏が逝去したのは2019年7月。ジャニーズ事務所の株は、メリー氏とジュリー氏の2人で分け合い、50%ずつ保有する形に。さらに2021年にメリー氏が亡くなると、メリー氏の株がジュリー氏にわたり、彼女は全株を保有することとなった。

専門家が同業他社などの株価を勘案し、ジャニー氏が亡くなった時点での1株当たりの評価額を約200万円とした場合、
ジュリー氏が納めるべき株に対する相続税は約860億円と推計できるという。
だが、驚くべきことに、この巨額の相続税をジュリー氏は一切、支払っていない。「事業承継税制」の特例措置を申請し、相続税の支払いを免れているからだ。

税優遇を受けるためには、5年間代表取締役を務める必要がある

「事業承継税制」とはどのような制度なのか。税理士の板倉京氏が解説する。

「近年、後継者不足や後継者の重い税負担を理由に、黒字廃業する中小企業が後を絶たない。そこで国は、2009年から中小企業の事業承継を後押しするため、
『事業承継税制』を導入しました。2018年にできた特例措置が適用されれば、株式の相続税や贈与税の納税が猶予され、実質ゼロにできるのです」

ただし、ジャニーズ事務所が事業承継税制の特例措置で税優遇を受けるためには、ジュリー氏が「代表取締役」の座に座り続ける必要がある。

「相続税をゼロにするには、申告期限の翌日から5年間、代表取締役を務めないといけません。
また5年後以降は株を継続して保有する必要がある。この税優遇の目的は、後継者が事業を円滑に次世代に繋ぐことを条件に、
本来かかる税金を全額免除しますよ、というもの。なぜ、5年間かというと、後継者育成に最低5年は必要とされているからです。
ジャニー氏が亡くなった際の、相続税の申告期限は2020年5月。そこから5年間つまり2025年5月まで、ジュリー氏は代表取締役を務める必要があるのです」(同前)

ジュリー氏が代表取締役を留任した最大の理由

もし今回、ジュリー氏が代表取締役を辞任していたら、どうなったのか。

「精神疾患や要介護認定を受けるなど、やむを得ない事情を除き、特例措置の認定が取り消しになる。
それまで猶予されていた相続税に利子分を加えて納税しなくてはいけません」(同前)

ジャニーズ事務所の同制度利用について、国税庁関係者は、「被害者やファンを馬鹿にした話」と憤る。

「ジュリー氏が代表取締役を留任した最大の理由は、税金逃れに他ならない。
このまま彼女は、性加害の被害者補償を名目に、2025年5月まで時間稼ぎをするつもりでしょう。
もちろん事業承継税制を申請すること自体は何ら違法ではないが、きちんと会見で説明すべき。
税逃れを隠して『被害者への補償・救済』へと目的をすり替えるのは、悪質な手口と言わざるを得ません」

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https://bunshun.jp/articles/-/65873