4月の熊本市議選で自身への投票を呼びかける違法な文書(ビラ)を有権者らに配ったとして、公選法違反(法定外文書頒布)の罪に問われた元熊本市議、職業不詳北口和皇被告(65)=中央区国府本町=の公判は21日、熊本地裁(平島正道裁判長)で被告人質問があり、北口被告は「違法性の認識があった」と述べた。

動機について被告は「立候補を決めたのが告示前日で当選は千%無理だと思っていたが、見苦しい票数で落選したくなかった」と説明。その上で「法定外文書だと分かっていた。当時は睡眠不足でネコにかまれて40度の熱があったから送ってしまった。本当に申し訳ないと思う」と答えた。

起訴状によると、市議選中央区に立候補した被告は告示後の4月5日、公選法の規定で必要な証紙が貼られていないビラを、郵便で選挙区内の個人宅や企業など35カ所に送ったとされる。検察側は、被告が発注した法定外ビラは9千枚、茶封筒は7千枚に上り、うち6407通を送ったと指摘している。

この日は結審予定だったが、検察側の都合で次回の10月10日に延期された。(植木泰士)