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薄毛治療のトラブル増加 高額契約もクーリングオフ不可、都内の相談は4年間で3倍に

薄毛(男性型脱毛症、AGA)の治療を巡り、クリニックなどで性急に高額な契約をさせられる消費者トラブルが増えている。東京都消費生活総合センターへの相談件数は、4年間で3倍近くに増加。同様のトラブルは全国で起きているとみられ、同センターは「勢いに任せず、十分に考える時間を作ってから契約してほしい」と呼びかけている。

平成30年には32件だった同センターへのAGA治療関連トラブルの相談は年々増加し、令和4年は89件。複数の県で開設されているクリニックでのトラブルもあり、担当者は「全国的な傾向といえる」と話す。

ある20代の男性は無料カウンセリングの際に「早く治療した方がよい」と服薬1年間、注射4回のコースを勧められ、総額約100万円の契約を締結。その後、「高額なため、クーリングオフができないか」と同センターに相談した。

脱毛やほくろの除去など一部の美容医療サービスは平成29年施行の改正特定商取引法により、一定の条件を満たせばクーリングオフの対象となったが、AGA治療は対象外。このため、センターはクーリングオフできないことを伝えた上で、中途解約金が高額な場合は交渉の余地があることなどを伝えた。

AGA治療は自由診療のため、クリニックによって支払額の差が大きく、一括での高額な前払い契約が多いこともトラブルの背景となっている。同センターは「勢いに乗ってその場で高額な契約をしてしまうのは危険。時間をおいて、周囲にも相談してから検討してほしい」と注意喚起。国民生活センターの担当者も「『いま治療しないと間に合わない』と契約を急かすのは、まともな医療機関のすることではないと意識してほしい」としている。