ウクライナ軍装甲車、ロシア防衛線を突破

ウクライナ軍が南東部でロシアの主要防衛線を装甲車で突破した。3カ月半に及ぶ反転攻勢ではウクライナはロシア軍の占領地域を二つに分断することを目指しており、重要な節目となる。

 南東部ザポロジエ州のベルボベ村付近で、ウクライナ軍は塹壕(ざんごう)やコンクリートで構築された「竜の歯」と呼ばれる戦車に対する防御網を突破し、装甲車両が通り抜けられるようになったと、現地のウクライナ空挺(くうてい)部隊の将校が語った。公開情報に基づく分析では、ウクライナ軍車両に対する砲撃が映されたロシアの動画は防衛線突破を裏付けるものとみられている。

 今回の防衛線突破の規模は小さく、現地では激しい攻防が続く。ロシア軍は砲撃を強化し、反撃している。ウクライナ側では多くの死傷者が出ている。

 だが、ウクライナ軍が拠点を確保することができれば、突破口からより多くの装甲車を送り込み、厳重に要塞(ようさい)化されていない地域で攻撃を仕掛けることが可能になる。

 前出の将校は「われわれは前進している」とした上で、ロシア軍を「破壊している。ただ、その代償は...」と話した。

 ウクライナの反転攻勢は極めて重要な局面を迎えている。ウクライナは、ロシア本土と2014年にロシア占領下に置かれたクリミア半島を結ぶ補給ラインを分断するため、アゾフ海に向かって南下したい考え。ロシアはウクライナの領土の約2割を占領し続けており、ウクライナは攻勢を仕掛けて奪還を目指す。

 たとえウクライナ軍がアゾフ海に到達できなくても、前進を続けることでロケット弾や大砲でロシアの補給ラインを攻撃することができるようになる。

https://news.yahoo.co.jp/articles/cbe665d87942c0dd9319a171a59ba227bfdfd044