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慶応の甲子園出場はいばらの道? 他校が「エリートに負けたくない」と闘志満々

今夏の甲子園で107年ぶりの全国制覇を飾った慶応。「美白プリンス」と形容された丸田湊斗(3年)、4番の延末藍太(3年)、主将の大村昊澄(3年)を中心に、試合を重ねるたびにたくましくなり勝ち進んだ。アルプススタンドを埋め尽くす熱狂的な応援も話題に。球界を代表するスラッガーとして活躍した清原和博氏を父に持つ清原勝児(2年)が代打で出場した際は、地鳴りのような大声援で球場のボルテージが最高潮に達した。

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 全国の頂点に立った余韻に浸ることなく、来春の選抜大会に向けての戦いが始まっている。今月、センバツ出場校の選考資料となる秋季神奈川県大会が開幕。夏の全国制覇で一気に注目度が高まった慶応だが、危なげない戦いぶりで勝ち進んでいる。10日の2回戦・舞岡戦は22−1、16日の湘南工大付戦は9−0、17日の橘戦は10−1とすべてコールド勝ち。新チームは甲子園でも主戦で活躍した2年生たちがそろっており、さらに進化する予感を漂わせる。エース右腕・小宅雅己、今夏の決勝・仙台育英戦で先発した左腕の鈴木佳門の強力2本柱に、外野から捕手にコンバートした、新主将の加藤右悟が攻守の中心選手としてチームを牽引。小宅と加藤は県央宇都宮ボーイズ時代にバッテリーを組み、2021年春に全国制覇を飾っている。

 だが、本当の戦いはここからだ。

 24日の準々決勝はプロ注目の森駿太(2年)擁する桐光学園と激突する。全国強豪校の横浜、東海大相模も虎視眈々と順当に勝ち上がってきている。

「総合力で言えば慶応が頭一つ抜けている印象ですが、勝つ術を知っている横浜、投手陣が強力な東海大相模も十分に戦える。桐光学園は投手陣が慶応の強力打線を抑えて接戦に持ち込めば、番狂わせの可能性がある。神奈川県大会は強豪校がひしめき、全国大会さながらのハイレベルな戦いが繰り広げられます。慶応は決して油断できません」(スポーツ紙デスク)

 横浜は今夏の県大会で慶応を最も苦しめた高校だった。左腕エース・杉山遥希(3年)、安打製造機の緒方漣(3年)を中心とした好チームは九回まで2点リードと優勝を手中に収めかけたが、最終回で無死一塁から丸田の二ゴロに、遊撃の緒方が二塁ベースを踏まず一塁に送球したと判定されて流れが変わる。一塁、二塁共にセーフでピンチが拡大し、渡辺千之亮(3年)に3ランを浴びて逆転負けを喫した。

 再スタートを切った横浜でカギを握る投手が、1年生左腕の奥村頼人だ。小学生時代はタイガースジュニアに選ばれるなど将来を嘱望される左腕で、130キロ台の球速以上の威力を感じさせる力強い直球にチェンジアップを織り交ぜて三振を奪う。その投げっぷりは横浜の先輩で、現在阪神の左腕エースとして活躍する伊藤将司を彷彿とさせる。まだまだ発展途上の投手で制球力を改善するなどの課題があるが、伸びしろは十分だ。

 アマチュア担当のスポーツ紙記者は、「横浜は伝統的に夏に強く、今はまだまだ粗削りで未完成です。ただ、今夏に悔しい負け方をした慶応に負けたくない気持ちは強い。近年は甲子園で目立った成績を残していないですが、地力はある。強いチームと戦う時に能力以上の力を発揮してくる。秋の県大会、関東大会を勝ち抜いてセンバツに出場するチーム力が備われば、来夏は神奈川県大会の本命になるでしょう」と分析する。
 東海大相模もリベンジに燃えている。今夏の県大会準決勝で慶応に1−12と6回コールド負け。投手陣が3本のアーチを浴びて完全な力負けだった。新チームは、長打力とミート能力を兼ね備えた和田勇騎(2年)がリードオフマンを務める強力打線を形成し、投手陣も小学生時代にソフトバンクジュニアに選出された塚本空輝(2年)、身長194センチの長身左腕・藤田琉生(2年)、粘り強い投球が身上の高橋侑雅(2年)、キレ味鋭いスライダーを武器に三振奪取能力が高い福田拓翔(1年)と能力の高い選手がそろっており、大崩れしない。

 秋季神奈川県大会は上位2校が栃木で行われる秋季関東大会に出場する。慶応は横浜、東海大相模と別ブロックのため、決勝まで対戦しない。準々決勝・桐光学園に勝てば、準決勝で横浜創学館と鎌倉学園の勝者と激突する