ゼレンスキー大統領はホワイトハウスから、3億2500万ドル(約481億円)の追加軍事支援を確保した。しかし、望んでいた240億ドルの大規模支援には及ばなかった。その大規模支援の案は、米連邦予算をめぐる連邦議会での対立に巻き込まれて膠着(こうちゃく)している。
大変なのはそれだけだはない。
ワシントンでゼレンスキー氏は、ジョー・バイデン大統領だけでなく、野党・共和党の幹部たちとも会談した。共和党内では、ウクライナ支援継続の意義を疑う懐疑的な声が高まっており、共和党幹部はそれを抑え込むのに苦労している。
「私たちは自由主義世界を守っている。それは共和党にも響くはずだ」。ウクライナ政府の顧問は私にそう言った。「戦争が始まった時の方が大変だった。あの時はカオス状態だったので」。
「今の私たちはもっと個別具体的な要求ができる。協力してくれる国々が何を持っていて、どこに保管しているか承知しているからだ。我々の大統領は複数の国で、国防大臣ができる!」
しかし、ウクライナにとって残念なことに、ゼレンスキー氏は複数の国の国防大臣ではないし、課題は山積しつつある。
「どうしてウクライナにいつまでも、白紙委任でなんでも渡すのか? 勝利とは何を意味するのか?」
この二つの疑問に、ゼレンスキー氏は国際舞台で答えようとしてきた。
だからこそ昨今の彼の取り組みは、以前のように支援を強く求める働きかけではなく、西側の支援が途切れないようにするための交渉に傾いているように見える。

https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-66899907