⑦段落。だが、これは虚構だ。

才能も人格も本を正せば、親から受けた遺伝形質に、家庭・学校・地域条件などの社会影響が作用して形成される。

我々は結局、外来要素の沈殿物だ。
…能力も遡及的に分析してゆけば、いつか原因は各自の内部に定立できなくなる。
社会の影響は外来要素であり、心理は内発的だという常識は誤りだ。

認知心理学や脳科学が示すように意志や意識は、蓄積された記憶と外来情報の相互作用を通して脳の物理・化学的メカニズムが生成する。

外因をいくつ掛け合わせても、内因には変身しない。
したがって「自己責任の根拠は出てこない」(傍線部イ)。