https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/715099

コロナ“新変異株”ピロラ 国内で初確認 症状の特徴と感染の可能性を医師に聞く

コロナの‟新変異株”ピロラが日本国内で初めて確認されました。
どのような特徴があるのでしょうか?
また、新型コロナ・インフルエンザが同時流行する中、医療現場の状況と、我々が注意すべきことを、いとう王子神谷内科外科クリニックの伊藤博道院長に聞きます。

日本国内で初めて確認 新変異株ピロラ
新型コロナウイルスの新変異株が出てきています。
「BA2.86」通称“ピロラ”と呼ばれるものです。
PCR検査を行った検体をゲノム解析したところ、オミクロン株の新たな変異種「BA2.86」系統を確認したと東京都が発表しました。

ウイルスの表面にある突起状のスパイクタンパクが変異することで感染しやすくなる恐れがありますが、この「BA2.86(ピロラ)」は30か所以上とスパイク異変が多く、監視対象に認定されています。


国立感染症研究所によると、9月8日時点で、13か国で67件検出されています。
南アフリカが最多で16株、日本では1株確認されています。
現在「BA2.86(ピロラ)」の感染力の強さや重症度などについてまだ情報が少なく、今後の研究が待たれています。
感染拡大の可能性に関し、いとう王子神谷内科外科クリニックの伊藤博道院長は、
「今回の発見は“氷山の一角”かも。数か月のうちに流行の可能性もある」
としています。

ーー大きな流れでいうとオミクロンの流れなんですか?
いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道院長:
そうですね。オミクロンの初期の頃の症状に少し回帰しているような感じがあります。オミクロンの株が最初に出てきた時期にのどの強烈な痛みや発赤・腫脹がすごく話題になりましたけど、そこに近くなってきていると。味覚障害・嗅覚障害が比較的多いのも、そんな印象を受けています。
「第8波のピークに近い」今の医療現場
ーー今コロナの状況はどうなっていますか?
伊藤院長:
コロナの患者さんはお盆明けにちょっと増えて、一旦ちょっと減ったんですが、また少し増えてきています。
特に、10代、小学生・中学生・高校生と、高齢者の方に広がってきています。
エリス(EG.5株)という、ピロラより一歩手前の株が今主流になって感染が広がっている状況だと思います。


ーー第8波の時と比較してどうですか?
伊藤院長:
現場感覚としても、第8波のピークのときと変わらない感染者の数や陽性率、逼迫の状況となっています。
医療体制が5類に変わってサポートもかなり弱くなっています。薬が不足している中で、現場やあるいは高齢の方や乳幼児の方が耐えられるのかどうか、注視していく必要があると思います。

ーー症状としては今までと変わっていますか?
伊藤院長:
症状は二手にわかれています。
2回目、3回目の感染の方や、ワクチンを最近、例えば3か月以内に打った方は、症状がかなり軽いです。熱が出なかったり、風邪かあるいは秋の花粉かというような感じで受診しない方も結構います。

初めての感染の方は、非常に症状が重く、特にのどの強烈な痛みを軸に、頭痛、関節痛、筋肉痛、高熱、咳など。吐き気、嘔吐、下痢などの消化器の症状の方も結構います。
後遺症も味覚障害・嗅覚障害の方が少なくないですね。
それから目の症状、副鼻腔炎の症状など、初感染の方は特に重い症状で苦労されています。

感染したと思われる人の抗体(N抗体)の保有率が大体半分ぐらいなんですけど、まだ1回も感染してない方が新たに感染するという時期になっています。
免疫力が弱いな、特に疲れてるな、あるいは感染する機会が多いなという方は、個々で自分を守るということが必要だと思います。