「その地ビール、発泡酒です」 国税局が指摘、減税取り消され追徴

 「六甲ビール」で知られる神戸市の地ビール製造・販売会社が大阪国税局の税務調査を受け、2022年までの約3年間に出荷した缶ビールについて発泡酒にあたると指摘されていたことがわかった。コロナ禍で「宅飲み」需要が高まる中、ビールの品質を保つために砂糖を加えたことが理由だという。

 本来は適用されないビールへの減税措置を受けていたとして、過少申告加算税を含めた酒税400万円超を追徴課税されたとみられる。

 国税局の指摘を受けたのは「アイエヌインターナショナル」(神戸市北区)。複数の関係者によると20年ごろから、製造した地ビールを缶に詰める際に砂糖などを加えていたという。スーパーやコンビニ向けには常温で流通できる製品が求められ、品質を保つためだったとみられる。

 だが酒税法施行令では、同社が製造する種類のビールに加えてよいのは果実や香味料などに限られ、砂糖は認められていない。砂糖を加えれば発泡酒として扱われるが、同社は税務署にビール製造と申告して出荷したという。

■小規模醸造者なら酒税が15%軽減

 租税特別措置法には、小規模醸造者がビールを出荷した際にかかる酒税が15%軽減される規定がある。同社は22年までの約3年間、発泡酒にあたるものをビールとして月に数千リットル出荷していたとみられ、国税局はこの間に受けた400万円超の減税措置について、本来は適用されないと判断したという。

 同社は1997年に地ビール製造を始め、日本の地ビール業界で先駆的な存在とされる。「六甲ビール」は350ミリリットル缶が1本400円(税込み)などで販売され、首都圏や東北、九州にも販路を広げている。帝国データバンクによると、2020年3月期に9千万円だった売上高は、21年3月期に5千万円となっている。

 同社の中島学社長は取材に対し、「製法や税務についてはお伝えできない」と回答した。その上で「原料や製法は法律にのっとるよう厳正に選定している。現在では酒税に強い税理士にも確認し、法律の解釈の齟齬(そご)が起きないよう強化している」などとした。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c6911198401554dcc81b580c7613c6567d4d7b60