神戸市北区の住宅地で2017年、祖父母と近隣住民の計3人を殺害し、母親ら2人に重傷を負わせたとして殺人などの罪に問われ、一審で無罪となった男性被告(32)の控訴審判決が25日、大阪高裁であった。

 坪井祐子裁判長は「妄想の内容を確信していた疑いが払拭(ふっしょく)できない」と指摘。心神喪失状態だった疑いがあるとした一審判決を支持し、検察側の控訴を棄却した。

 高裁判決によると、被告は17年7月、自宅で同居する祖父母を金属バットで殴るなどして殺害し、母親に重傷を負わせた上、近くの民家で住民女性を包丁で刺殺し、別の近隣住民も刺して重傷を負わせた。

 被告は2度の鑑定留置の末に起訴され、公判では、被告が「哲学的ゾンビを殺せば知人女性と結婚できる」との妄想の影響下で殺傷した点には争いがなく、刑事責任能力の有無が争点だった。

 一審・神戸地裁の裁判員裁判の判決は、精神鑑定した医師2人のうち1人の意見を元に、被告が当時統合失調症で「妄想などの圧倒的影響下で行為に及んだ疑いがぬぐえない」と認定。高裁も追認し、無罪が妥当と結論付けた。

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