理解のある彼くん」を共通の言語として浸透させた別の要因に「性差」があります。
生きづらさエッセイの作者は大半が女性であることは前に述べました。
逆に言えば、生きづらさを抱えた男性が「理解のある彼女ちゃん」に救われる話は非常に稀少なわけです。

この性差は、恋愛における男女間の絶対的な非対称性も併せてこう分析されています。
「例えば、発達障害や精神疾患などのある女性でも若ければ恋愛対象として見られる望みがある。
しかし、同様の問題を抱える男性は『弱々しい』『生理的に無理』で終わりだ。これが『理解のある彼くん』ばかり多い理由である」

要するに、恋愛市場から排斥された男性による「性差への怨嗟」が、「理解のある彼くん」に乗り移っている訳です。
お見合いなど古来のマッチングシステムが崩壊し、恋愛のできる男性が離婚と再婚を繰り返す「時間差一夫多妻制」となったことで、「非モテ」へのセーフティネットが無くなったのも一因でしょう。

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